東京都内にしては珍しく、コウモリを見かけた。
まあ見かけた人なら数多くいるのかもしれないが、コウモリと正面衝突したのは俺くらいなものだろう。
帰り道にある割と大きな交差点。
珍しいな。コウモリだ。
と見上げていたら、俺の目の前に弧を描いてそいつが飛び込んできた。
避けられないことも無かったのかもしれないが、何故かそいつを良く観察したいという変な好奇心が沸いてきて、まったく迂闊にも顔面ブロックでそいつを受け止めてしまった。
ぶっ細工な顔が俺の額に衝突する。
コウモリって狭い洞窟内でもぶつからないんじゃなかったのか?
空から降ってくるにしても、ぶつかるにしても、どうせなら美少女がよかったのに。
額を押さえながらそんな事をひとりごちて帰路にたった。
所で今日はダンスの稽古だった。
なにやら俺はパワープレイを求められているようだ。
得意分野だ。
それなら問題は無い。
しかし、いかんせん音楽に合わせるというのが。
早く音楽を覚えねば。
格好良いダンサーに囲まれてるんだ。
俺が一番努力せねば。
何だかスーツケースの稽古より集中している気がする。
人間追い込まれると必死になるもんだ。
この調子で、明日の稽古も必死にやろう。
と、現時点では心に誓っているよ。
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