「「ラブプラス」というゲームをご存知か?」
「知ってる」
「OK」
このラブプラスに今俺は大きな怒りを感じている。
今日たまたまPVを見かけ、少し興味を持った俺はプレイした事のある同僚に聞いた。
「何このゲーム。彼女が自分を好きな呼び方してくれるの。すごいじゃん
てことは先輩とか呼んでくれるの? いいじゃん」
「いや、たしか先輩は無理っすよ」
「あん?」
「なんか自分の名前を決めるとその愛称みたいのを。ダイスケだったらダイちゃんとか」
「なんでだよ。おれは先輩って呼ばれたいんだよ」
「無理っすよ。学年は決まってるんで。どうしても呼ばせるなら自分の名前を先輩って入力すれば・・・」
「そんな奇妙な小技で呼ばれても意味ないんだよ! シチュエーションが成立してないだろうが!
じゃあいいよ。このちっこい子が部活の先輩で俺が部活の後輩なら我慢するよ」
「だから主人公は高校2年で、女の子たちも学年が決まってるんで」
「なんでだよ! ヴァーチャル彼女と自由な恋愛を楽しむゲームだろう! なんでキャラの学年くらい変えられねえんだよ! お前何のためにゲームの中で高校に通い直してんだ! 現実で出来なかったことを達成するためだろうが!」
「こだわりすぎですよ! あとこのちっこい子は部活に入ってません。このまんなかの子なら一応部活に入ってますよ」
「ほう、どんな子なんだ? なんかすごい勝ち組っぽい顔をしているな。クラスのアイドル的存在か。だめだめそんなの。絶対この子と映画観に行くことになったらBOXとかバンデイジ観たいっていうよ。カラオケ行ったらGReeeeeeN歌ってって言われるよ。付き合ってられるか!」
「なんで想像だけでそんなに思いつくんすか! 違うんですよ、この子はすごい勉強できてスポーツ万能で家がお金持ちなんすけど、それゆえに周りから少し距離を置かれてるって子で…」
「なんっだそりゃ! 当たり前だろ! つーかそんだけ揃ってんなら友達なんかいらんだろ! もう必要なものは全部持ってんだから!」
「ええー!? 違うんすよ、だからその心の寂しさを主人公が埋めてあげるって言う…」
「これだけ揃っててまだ心が満たされないのか! 何そのハングリー精神!? 何そのハングリー精神!? 金と才能の次は人望か! カリスマが欲しいのか! 俺だって欲しいよ! だったら俺が彼氏になってやるからその金と才能を俺にくれ、そしたら俺は友達も彼女もいらん!」
「落ち着けー!」
全く納得がいかない。どうやらこのゲームは俺に向かないみたいだ。
何よりも一番言いたいのは、メーカーも名前に合わせて愛称を何百通りも用意するガッツがあるなら、汎用性の高い「先輩」とか「部長」とか入れてくれよ。その方が楽だろ?
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